「唯一無二の自分を叶える、カッコいいピンクの靴」 CHAI×坂部三樹郎:対談

“NEOかわいい”をコンセプトに、唯一無二のサウンドを届け続ける4人組バンド。セルフタイトルを冠した4thアルバム「CHAI」を引っ提げたワールドツアーの真っ只中、ライブ衣装としても着用しているコラボモデルに込められたCHAIのこだわりと、揺るがない信念とは。



——CHAIのみなさんは普段からgroundsの靴を愛用していると聞いています。

 マナ:はい!インスタグラムもチェックしています、大ファンです。

 ユナ:私ももともと、すごく好きでした!

 坂部三樹郎(以下、坂部):いやぁ、ありがとうございます。恐縮です。(笑)


——今回のコラボで作成したのは、ピンクが印象的なCHAIモデル。皆さんがこだわったポイントはどんなところでしょうか?

 マナ:CHAIといえばピンク!というほど、活動の中でよくピンクを着ているのですが、この「ピンク」をどれだけかっこよく見せられるか、ということが今回の大きなテーマでした。


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 マナ:本来ピンクという色が持っているイメージは、どちらかというと「かわいい」だったかもしれないんですけど、私の中では、「かっこいい」色でもあって。ピンク=カッコいいというイメージをつけたかった。CHAIが活動の中でピンクをあえてずっと着ているのもそんな理由からなんですが、groundsのかっこいい靴とCHAIらしいピンクを掛け合わせれば、自然とかっこよくなると確信していました。


——「カッコいい」ピンクにこだわるのはどうしてですか?

 マナ:私たちって小さい頃から、ピンクという色はすごくかわいらしいイメージがあるじゃないですか。その印象があまりにも強いので、大人になった今、ピンクってかわいい人しか着られない色なんじゃないかという思いから、着るのに少し抵抗感がある気がするんです。

 カナ:なぜか年齢を取るにつれて、だんだん選びづらくなる。

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 マナ:自分には似合わないんじゃないか、幼いんじゃないかとか、いろんなことを気にして選ばなくなっていくんだけど、私は生まれた瞬間に最初に手に取りたかった色は、ピンクだった。だから、心のままに動こうとする時、ピンクが一番に選びたい色なんです。私たちCHAIがピンクを着るのは、みんなが心のままに好きな色を選べるようになってほしいという思いが込められています。

 坂部:なるほど。僕も共感しますね。結局人はいくつになっても、小さい頃に好きだった色、例えばピンクや派手な色が、本当は好きなんじゃないかと思います。同様に、昔かわいいものが好きだった女の子が、年齢とともになぜかそれを選べなくなってしまうのは悲しいですよね。だから、その概念を変えていってくれようとするCHAIの皆さんのマインドは、すごく心強いです。


——歳とともに心のままに選べなくなってくるのはなぜなのでしょうか?

 ユウキ:人の見栄のような意識があるからかもしれないです。もっとこう思われたくないとか、もっとこう見せたいとか。だから、ピンクはこういう色っていう枠も生まれちゃう。ピンクのイメージは「ここ」から「ここ」までという印象を付けちゃうのが、もったいないなと思います。例えばピンクも、見せ方、着こなし次第で、ピンクの本来持つパワーみたいなものを感じます。かっこよさもあれば、強さも感じる。男性とか女性とか、そういうものをもっと超えたところを表現できるような色だなとも感じる。

 坂部:いつしか勝手に、色に枠を付けちゃうのが良くないんですよね。

 ユウキ:だから私たちの立ち姿や演奏する姿、表現する姿を見て、その枠を取っ払うきっかけになったらいいなと思っています。これはピンクに限らずだけど、ピンクをきっかけにして。


——CHAIの表現するピンクは「心のままに選ぶ」という強さも兼ね備えている色なんですね。

 マナ:はい。なので、私たちは日々とんでもねえピンクを着てパフォーマンスしています。(笑)

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 坂部:ちなみにCHAIの皆さんの私服では、どんな色を着られるんですか?

 マナ:レインボーです!全部の色が好きで、その日の気分で変わります。

 カナ:ピンクももちろん着るけど、どんな色でも着たいなって。

 坂部:それはいいですね。人は本来もっと色々な色が好きなはずですよね。まさに日常のちょっとした疲れから徐々に着なくなっちゃうだけであって。本当は着たいのに、なぜか着れないな…という感覚の人たちがすごく多い気がするので、カラーを着ている人が増えれば、僕もうれしいです。

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——CHAIの皆さんはどんな時に、どんな色を選ばれるのでしょうか?

 ユウキ:例えば、雨が降っていて落ち込む感じがする時。そうしたら、逆に赤を着る。色のエネルギーを感じるからこそ、環境とか状況に左右されないために、自分の気持ちを上げていくために、色や柄をチョイスします。疲れている時こそ明るい色とか、きらきらしたものとかを身に着けたりするかな。

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 坂部:なるほど、僕もそういう選び方をするかもしれないです。あと色だけじゃなくて、僕だったら、風邪をひいたらジャケットを着ます。気持ちからぴしっとすると、治ります。(笑)

 マナ:色だけじゃなくて、シェイプにもエネルギーがあるんですね。面白い!

 坂部:そうなんですよ。その側面から見ると靴や服って、自分自身に一番近い「環境設定」ですよね。周囲の状況に左右されずに自分でその環境を調整すると、不思議と状況も変わるから面白いですよ。


——CHAIの皆さんは4thアルバムを引っ提げたワールドツアーのライブ衣装で、まさにこのコラボシューズを履いていただきました。反響はいかがですか?

 カナ:これまでツアーでアメリカ、カナダ、メキシコに行ったんですが、海外のお客さんからも、めちゃめちゃかわいいって評判です!

 マナ:みんなこの靴に目がいくみたいなんです、やっぱり。唯一無二の靴だと。「どこのブランドなの?」と、よく聞かれます。


——音楽活動の中で、皆さんにとって衣装とはどんな役割なんでしょうか。

 マナ:衣装は本当に大事な要素ですよ。真っ先に目に入りますから。

 坂部:僕もライブツアーの衣装を拝見したんですが、合わせてもらっている服のデザインがめちゃくちゃ面白いですよね。肩とかウエストのシェイプの作り方が特に。
衣装としてもそうですが、ファッションとしてもすごく面白いです。CHAIの皆さんはそういった視覚的な部分からもイメージ作りがとても上手で、印象的です。

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 マナ:ありがとうございます。かわいいですよね!今回はアルバムに合わせてニューウエーブっぽさを大事にしているんですが、groundsの靴とのトータルバランスがすごく気に入っています。

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 マナ:アルバムが今回セルフタイトルで、『CHAI』と題したアルバムなので、“CHAIポップ”というものをテーマにしています。これは曲を作るにあたっても、見た目を作り上げる上でも、CHAIらしさを全面に出すことをこだわりました。そこで、私たちのルーツであるニューウエーブや、ファンク、ロック、パンクなど、音楽面だけでなく精神性も含めて、それらを全部伝えられる見た目にしたくて、こういう衣装になりました。肩パッドとかもそういうものの表現の一部ですね。


——ジャンルにとらわれない“CHAIポップ”、衣装からも伝わってきますね。

 マナ:そしてgroundsの靴はまさに、その心臓って感じ。

 カナ:心臓です、本当に。改めて写真や映像で見たときに、一番際立って印象に残ります。動くたびに足元に目がいくぐらい、本当に目立つから。

 マナ:どこかに光るものを入れたいという思いがあって、それは絶対に足がいいねと話していました。groundsの靴は絶対、一番光ると思ったもんで。

 カナ:シルバーのソールはCHAIのライブ衣装オリジナルの仕様にしていただいたのですが、使えば使うほどシルバーが削れてきて、中に塗ってある色が出てくる。これもポイントです。使い込むほど唯一無二になっていく感覚があって、靴と自分たち、通ずるものを感じています。

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 カナ:剝がれるとは本来、劣化で、人間でいったら老化ですよね。ピンクが着られなくなるのも、老化して変わっていく自分に「ピンクは似合わないかも」と、恐怖を持ったりするから。でもこの靴は劣化がかわいい。劣化することの美しさだったり、発見だったり、変わっていく姿に新しいオリジナリティーを見出していけるんです。

 マナ:それがCHAIの思うオリジナリティーです。歳の取り方は、どうやったってその人だけの生き方になるし、生き様になる。その美しさに気づくことが本当のセルフラブだと思います。

 坂部:世の中で自分を保つということが難しいところがあると思うんですよ。自分自身でいたいけど、何か人に言われたりすれば、揺らいじゃうじゃないですか。全ての人がそうだと思います。でも、CHAIの皆さんは特に “何かっぽい”という感じがしないのがすごい。
そこを自分たちで意識されてきたからなんですね。

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 マナ:唯一無二は大事にしてますね。ジャンルはCHAIですから。


——CHAIの楽曲にもたくさん出てくる「かわいい」という価値観。唯一無二である自分となかなか結びつかない悩みを持っている人も多い気がします。

 マナ:実は唯一無二であることと、世間で言うかわいいは私も結び付かないです。完全に切り離してるんです。それは、何がかわいくて、何がかわいくないかは自分次第で、決めるのは自分だから。人に決められるものを気にしない。一緒じゃなくていいと思う。だから結び付かないんです、唯一無二とかわいいは。たぶん最初は、唯一無二なものはすごく変なもの。だけど、だんだん知名度が上がっていくと自然に「かわいい」になるんです。知られるということを経て、かわいいになっていくんじゃないかな。「私たちの夢はグラミー賞」と公言しているのもそういう理由からです。


——広まれば価値基準が変わるということですね。

 ユナ:groundsも、最初あまりまだ街で見かけなかった頃、この靴を履いている私は最上級におしゃれでしょ?と思って履いていたものが、最近たくさん見かけるようになって、今や、みんな大好き。

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 ユナ:すると、履いている人を見ると、おそろいだね!というのが共通言語になったりしています。

 坂部:なるほど。実を言うと、最初は僕もちょっとビビっていた部分があります。見た目がかなり特徴的なので、どこまでみんなに受け入れられるのか、よく分からなかったですから。
そしてありがたいことに最近履いてくれる人が増えたのは、何か爆発的なことがあったというよりは、徐々になんですよね。

 マナ:新しいものって徐々に広まると思います。音楽も一緒ですよね。でも最初は常に、挑戦じゃないですか!自分100パーセントで。

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 坂部:そう、自分100パーセントが結局一番強い。そして広まって大きくなればなるほど、目標を内向きに、自分を突き詰める方がいいと思います。10年・20年と続けていくためには結局、自分との向き合い方がますます大切になってきますよね。


——最後に、この靴を手に取っていただいた方に一言メッセージをお願いします。

 マナ:この靴はきっと、どんなときでもあなた自身の気持ちに少しプラスしてくれるような存在。おかずというよりも、もっとご飯に近いものになってくれると思うから、頑張らないときでも履けるような、そんな存在になったらいいなって思う。頑張りたいと思うときじゃなくて、頑張れないかもって思うときにも履いてほしいな。

 ユナ:はい、そしてめちゃめちゃ履き心地も軽いし、これを履くことでフットワーク軽く、自分の行きたい方向へ進んでいけるような靴だと思う。なりたい自分に、少しでも気分上がって突き進んでいける靴になると思うから、この靴を手に取ったら、そういう自分に向かってどんどん目指してもらえたらいいなと、思っています。

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 坂部:まさに、かっこよさのあるピンクの靴。楽しんで履いてほしいですね。


Photography: Yuichi Ihara
Text: Miho Koiwa